ケーキをどうぞ

学生のころ住んでいた下宿は大家さん一家の住宅と一体の造りで、そのころ既に木造の古い下宿はすっかり人気もない時代で、大家さんも離れた場所に住むようになっていた。

住宅部分には、だから、ときどき大家のおばあさんが日中を過ごしに来ていて、近所のお友達のおばあさんが集まっていた。

その日はたまたま、午後が休講で昼から台所を使おうとしていた。自室には湯沸かしポットがあったものの、ガスコンロで湧かすほうがだんぜん早い。やかんを火にかけながらぼんやりしてたら、おばあさんがひょっこり現れた。

「あんた、ケーキは食べる?」

実際は地元の訛がっつりで、そのまま文字に起こすとどこだか地名がすぐわかりそうな具合だ。

「え。」

はい、ともいいえとも答えかねて何か口ごもってしまった。ケーキ?

コンビニのケーキは目にするが、ケーキなんて食べる選択肢になかった当時。え、いいの?ケーキなんていただいてしまって、いいの?と混乱する。

「〇〇さん、今日来なかったから、ケーキ焼いたから持って行きなさい。」

〇〇さんというのは、たぶんいつものお友達だろう。焼いたから?ケーキ?

反応の悪い学生など慣れたものだったのか、さくさくと話がすすめられる。

「お皿持ってきなさいよ。」

 

皿は共同の台所へ置きっ放しだ。自分の食器カゴから皿を持っておばあさんの後をついてゆく。先にガスの火を消したが、まだ湯は沸いていない。

 

おばあさんの居間にはテレビとこたつ、こたつの上にはお菓子の盛られた鉢がいつものように並んでいる。そして、ケーキ。

ああ、このケーキか。

ケーキって言われると馴染まないが、ああ、ケーキだ。

 

「2枚あるから。」

そうして持参した皿には2枚のホットケーキが乗せられた。

「ありがとうございます。」

ほっとして、すらすらお礼が出てきた。このケーキならそれほど負担に思わず済みそうだという安堵。脳内で輝いた生クリームの盛られた「ケーキ」像をそっと消す気恥ずかしさ。

 

台所へ戻りガスの火を着け直しながら、ホットケーキなんて簡単に焼けるはずなのに、自分で作ろうとはしないものだと不思議に思った。どこかで子どものおやつのような気がしていた。焼いてもらって食べるお菓子のように感じていたのだろう。

焼いてもらったホットケーキは控えめな甘さで、しみじみおいしかった。

 

そして、何で自分で焼こうとしなかったかも思い出した。ホットケーキミックスのふくらし粉の味が苦手だったからだ。いいはなしっぽかったのに、だいなしだ。

 

 

 

あさげ、ひるげ、ゆうげ

永谷園のインスタント味噌汁の名称に隠された「け」。

 

「晩ごはん、夜ごはん、夕ごはん」の違いをなんとなく晩は深夜22時以降、夜は20時ごろ、夕は17時ごろ、とぼんやり思い浮かべてみながら、なぜそういう感覚にあるのか記憶を手繰ってみた。

 

「け」はお食事のことらしい。伊勢神宮外宮(げぐう)に「御饌殿(みけでん/みけどの)」と呼ばれる建物が知られ、「日別朝夕大御饌祭」として朝と夕に神饌(しんせん)と呼ばれる御饌(みけ=食事)をお供えする神事が行われているとのこと。1500年続く神事とされるから、お食事とは朝と夕にいただくものだったのだろうか。

 

www.isejingu.or.jp

 

え、昼は?

はて、古代にはお昼にお食事はないのか。つらい。

 

「午前8時から午前9時にかけて朝大御饌、午後3時から午後4時までにかけて夕大御饌」とはWikipediaの情報。「夕ごはん」17時感覚は古代からの神事となかなかにマッチしているではないでしょうか。畏れ多いが。おざっぱに「暗くなる前」が夕方の感覚としておこう。

 

それで冒頭の「あさげ」「ひるげ」「ゆうげ」に戻る。永谷園のサイトで確認したところ「あさげ」が1974年2月、1975年6月に「ゆうげ」、1976年2月に「ひるげ」がそれぞれ発売されているとのこと。ここでも朝と夕が先行して、昼は発売時期に遅れがみられる。正統なお食事タイムを朝と夕とする感覚や、「け」がお食事を意味する感覚は約40年前までは継続していたらしい。

 

では、昼のお食事が定着した時期はかなり新しいのではなかろうかと想像がつく。そして、晩と夜は時間帯は不明としても、近年までお食事タイムとして認識されていなかったのではないだろうか。

 

例えば「晩酌」。月を眺めて一献を風流とするならば、日が落ちて月が高く昇ってからだろう。「夜鳴きそば」も日が暮れてからの登場としていただきたいところである。晩や夜は酒を飲むか軽食のそばをいただくか、お食事とは別腹のものを口にする概念と共にあるらしい。時間帯で何かを食べることを指す例には他にないだろうか。「おやつ」だ。Wikipediaによれば「八つ時(14時頃)に食べる間食」をルーツとするらしい。

 

もしかすると、正統なお食事と、それ以外の時間帯に何か口にする機会は分けて考えられているのかもしれない。この仮設に基づくならば、正統なお食事以外の時間である夜に食べるものが「夜ごはん」で、晩に食べるものが「晩ごはん」となる。「おやつ」の例に従うならば、これらの「時間帯による喫食の機会」は時間帯だけで表現することもできるのではないか。

「晩は食べたの?」という言い方は確かに成立する。「夜はもういただきました」も大丈夫そうだ。しかし、具体的な時間帯は何かあいまいである。

Wikipediaによれば「夜(よる)は、日没から日の出までの時間のことである。」と定義され、晩は項目がなく夕としておおむね18時ごろが挙げられている。晩そのものに「遅い」の意があるとされることから、夕より後の時間帯を意識することになるようだ。

夕、夜、晩の順に時間帯を意識している根拠としてはこんなところだろうか。そして時間帯に「ごはん」を付ければいつでも食事時として呼ぶことができるシステムとはいえ、これらの時間帯のうち正統なお食事はたぶん「け」を伴う夕だけであったのかもしれない。

 

というわけで「夜ごはん」や「晩ごはん」は夜から晩へ食事の時間が遅くなるに従い普及したのではないかと推測できる。夜に明かりが普及してからの習慣と当てはつけたが、誰か検証してくれないかなー。

あと、朝と夕が正統ごはんである仮設に関連して、昼ごはんの登場についても別に検討するべきだろう。うっかり「新しい」概念だとか書いてしまったが、「け」の時代より新しいというだけで現代からは十分古い。

 

御饌殿は伊勢神宮の建物のなかでもとりわけ古式を伝えているとされる構造とのことで、食事に関することは古い慣習や感覚がよく伝わる部分なのかもしれない。まあ、どんな感覚だろうが腹が減ることは古代も現代も変わらないだろう。

 

 

きっかけはまず、ごはん名称の以下の記事。ぼんやり使っていて意識していなかった。

www.ikashiya.com

次いで昼ごはんについての記事を読んでインスタント味噌汁のことを思い出した。(追記:昼が単独で成立する件はこちらで指摘されていた。)

dk4130523.hatenablog.com

肝腎の「あさげ」情報。いまや手軽なインスタント味噌汁の代名詞「あさげ」が発売当初は高級品だったことに驚き。

www.nagatanien.co.jp

 

追記)さっそくお食事回数ほかについて解答をいただいた。なんとありがたい。だが、たいへんだ、なにしろ事はまったく単純ではないらしい。いつ食事をしたらよろしいやら、考えるだけで胃が痛い。

tagatanme.hatenablog.com

メガシャキシャキ

朝ごはんには卵を焼く。朝ごはんのためにフライパンを新調した。

 

IH調理器具に変えたこともあってフライパンを新調することにした。まずはイオンやイトーヨーカドーといった調理器具を扱っているだろうという店舗で探してみる。ひととおり眺めて飽きる。

次にAmazonほかネット通販のレビューを読みふける。フライパンがなかなか新しくならない。しかし、フライパンには詳しくなる。

そろそろフライパンがないと不自由なので、このあたりで数ヶ月経過しているが、ようやくヨドバシカメラへ出掛けることにする。学習の成果として内面が白い「セラミックコーティング」が欲しくなっているが、ヨドバシドットコムの店頭在庫確認では梅田店に在庫が集中しており、これといって決め手がなかった。

ただし、Amazonのレビューではセラミックコーティングのフライパンは評価が低い。すぐに焦げ付くだの、卵焼きも焼けなくなるだの、不穏なレビューが続く。というような学習も済ませている状態で、さて、ヨドバシカメラ店頭でフライパンを探す。

内面が白いセラミックコーティングで複数種類のセットではない適当なサイズのフライパンは一種類だけ。2000円以下の価格でもあるから、間に合わせとしてもまあいいやと考えて、そのフライパンを買う。

それにしても、どうしてヨドバシカメラにはAmazonで評価の高かったあのフライパンとかが置いてないのだろう。などと、帰りの電車で買ったフライパンについてAmazonのレビューを確認する。ところが、これまたセラミックコーティングが禿げただの、焦げただの、不安を煽られるレビューばかり。値段も値段だから、まあそんなものかと気落ちしながら読み進めると、ひとつだけ雰囲気の違うレビューがあった。

いわく、「モヤシがシャキシャキ」に仕上がると。

 

半信半疑でさっそくモヤシを炒める。炒めるというか、添付の小冊子にも注意書きとして書かれた「中火」を徹底するため、フライパンに乗せたモヤシをもそもそ揺らす。モヤシからの水分を飛ばすために火力を強くしたいが、そこをぐっと堪えて中火で5分ほどモヤシを揺らす。

驚くほどシャキシャキでおいしいモヤシ炒めが出来上がった。

いろいろ試してみると、野菜炒めはだいたいうまく仕上がる。焼きそばも向いているようだ。ヨドバシカメラはセラミックコーティングのフライパンのなかでどうしてこのフライパンだけ扱っているのか。もしかしたらこのモヤシシャキシャキ仕上げが理由なのだろうか。価格も手頃で、意外に性能も良い。もしかするとヨドバシカメラの目利きは頼りになるかもしれない。

 

それでも、たぶん万能のフライパンではないのだろう。焦げ付きレビューに登場する卵焼きや目玉焼きは試していない。

 

じゃあ朝ごはんはどうしているのか。卵は玉子焼で焼く。

フライパンが必要になった理由は玉子焼しかIHに対応していなかったせいで玉子焼がフライパン代わりだったからなのだ。フライパンがやってきて、ようやく玉子焼で卵が焼ける。朝ごはんの製作に直接関わるわけではないフライパンであるが、朝ごはんの成立のためには必要なのである。

 

肝腎のフライパンは以下のシリーズ。ヨドバシカメラのURLはプレビュー付の引用表示にはならないのね。

http://www.yodobashi.com/和平フレイズ-Wahei-Freiz-SR-5701-IH対応フライパン-セラルス-調理器具/pd/100000001001495312/

 

今週のお題「朝ごはん」

冷たい雨の日は馬ケーキより牛すじどうふがふさわしい。

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中山競馬場女子限定「UMAJO SPOT」で限定提供される馬ケーキを囲む女子会に伯母、従姉妹、従姉妹の娘で参戦した画像が送られてきた。元写真の公開は却下された。テイクアウトさえ許されない厳しい女子の掟。ああ、めでたいね。ケーキは想像していたものよりサイズが小さいらしい。さりげなく箱が3個並んでいるが、要は1人1個ケーキを頼んだらしい。

箱に入れてあるならテイクアウトさせてよ。おまけにワンドリンク無料らしい。女子だけ。女子だけ!

 

ケーキはあきらめて、牛すじどうふと白モツ食べて馬の写真撮って帰ってきたよ。遊具が置いてある広場でポニーの散歩も見たよ。全年齢がそれなりに一日過ごせるように作ってあるらしい。それでも高齢化は顕著だ。

かつて競馬場へ足を運んだ大勢は、今はどこで休日を過ごしているのだろうと考えると、そっくりそのままイオンモールが代替しているような気がする。従姉妹は家族で競馬場へ遊びにきた記憶があるというが、娘と来るのは初めてらしい。ケーキは偉大だ。イオンモールはヘビロテというから、公共ギャンプルと同列にするのもなんだが、社会的なニッチとしてはイオンモールと競馬が対応するのかもしれない。

 

馬ケーキ目当てで女子会参加組とガチ馬勢に加えて別行動隊が船橋で合流して梨羽家新年会的な状態の後解散。うさぎだけに人数が多い。居酒屋においしいケーキは期待できない。現れたモツ鍋をおとなしくいただく。今日は雨が冷たい。ケーキよりはあたたかいモツがぴったりなのだ。たぶん。

 

従兄弟ほかガチ馬勢とは競馬場内ではぐれた。どこかで一式揃えて販売されているんじゃないかとしか思えないジャンパーと帽子姿の男子(ここは女子に対して全年齢男子でよかろう)で溢れる場内では保護色にのまれた野生動物さながら、あっという間にはぐれた。帰りの集合場所と時刻を決めておいてよかった。そして携帯電話つよい。

キュイキュイに100円だけ投資して、レース終盤には怒号が響くフロアで過ごすも所在なく、レースから戻る馬が通るあたりをぼんやり眺めていた。雨脚が強まるにつれ冷える。

成田特別レースでは冷たい雨のなかうなりくん(成田のゆるキャラ)が表彰式に参列していた。雨のなか拍手のタイミングで腕をふりまわすうなりくん。表彰式終了とともに取り巻きに抱えられるように傘を差出され、VIP扱いで退場するうなりくん。スーツ姿のサポートスタッフがうなりくんから離れない。うなりくんに向けて盛大に切られるシャッター音が響く。すごいな、うなりくん

 

馬ケーキは「競馬場のイメージとは違って、かなりおいしい、特にクリームがおいしい」ケーキだったらしい。競馬場のイメージって何だろう。モツと牛すじだろうか。

 

 

今週のお題「2017年にやりたいこと」

おいしいケーキが食べたい。

 

umajo.jra.jp

 

アニメ「舟を編む」の「早雲荘」が編みおわらないけど続きは来年。

12月22日深夜放送の最終話「灯」を見て書いています。最終回。終わりました。猫のサービスカットで玄関と玄関横の部分の屋根が食い違っていることを確認したり、それなりに情報はあった。

これまでの経緯はこちら。

pool.hatenablog.jp

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松本先生の自宅については解析を止めました。室内描写が少なすぎる。早雲荘よりは新しい気がする。縁側でお茶を飲むシーンでわざわざ書斎らしい部屋との建具を閉めている。開けるでしょ、そこ。開けてくださいよ、平面との関係がわからないから。

設定はあるのかもしれませんが、本題とは関係ないですね。

コラボカフェの展示資料でぎぎぎとなった部分は台所。やはり玄関の隣で合っていたようです。ただし六畳ほどの規模らしいため、なんとか納める算段をする。

 

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「舟編荘(仮)」1階平面案(その6)。資料画像から冷蔵庫の位置がわかった。居室の窓の位置も微調整した。玄関は扉の先に差し掛けの屋根が懸っているせいで台所より出て見えるらしい。正面の柱だけ入れてみた。一応これでも玄関ポーチか。

台所の資料からはさらに面白いことがわかった。

 

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「早雲荘・台所・切返し・昼」と題された資料を適当に再現してみた図。冷蔵庫が置かれた側で、反対側に流しとガス台。暗い画像で見え難いのだが冷蔵庫と椅子の間に棚らしきものがあり、椅子の横には柱に沿ったケーブルとケーブル終端部に四角い小さい箱が描かれている。壁にはホワイトボードが架けられ、当番表かなにからしい。

アニメの状態での住人は最大でも大家さんと香具矢さん、それと馬締さんだけだが、かつて複数の下宿人が居たころの名残だろうか。もし椅子の横のケーブルと小さい箱が電話線と電話用のローゼットであれば、モジュラージャック化される以前に設置されていた共用電話の痕跡かもしれない。であれば棚は電話台ということになる。椅子が置かれている様子からもしかすると台所に共用の電話が設置されていたのかもしれない。ただし既に電話機は撤去されているようで、モジュラージャック式に変更もされていないとすれば早雲荘では各居室に配線がされているのだろうか。

現在はほとんどの屋内配線がモジュラージャック化されていてピンとこないかもしれない。モジュラージャックが普及する以前は電話機は民営化されてNTTとなる以前の電電公社から供給される黒電話やカラー電話を使用するものであって、自由に多様な電話機を利用することは難しかった。プッシュ回線であればプッシュホンも使用できたが、確か回線料金や普及地域に違いがあってやや憧れの存在だったとされる。黒や一部カラーのダイヤル式電話機といえばまだ記憶に新しい方も多いだろう。こうした電話機は現在のカチッとはめ込むモジュラージャック式ではなく小型のケース内で配線をネジドメするローゼット式のコネクタで接続されていた。この配線工事は資格が必要で屋内配線であっても個人が気楽に変更できるものではなかったらしい。

黒電話よりは共用電話として普及していたのはピンク電話。現在でも共用電話として機能している機種が個人経営の飲食店などで使用されているので見たことがあるかもしれない。発信には公衆電話料金が必要で10円玉の投入口が設けられている。

しかしピンク電話は料金収納機能が付いているせいかサイズが大きい。炊飯器ほどの場所を取る。資料の棚板らしきものは華奢で一枚だけ。もしかすると相対的に軽い、黒電話が設置されていたのかもしれない。

台所に共用電話、壁に当番表など、確かにこの建物が下宿として機能していたらしい表現だろう。現存事例を取材したとすれば共用電話が撤去されてから相当に時間が経っていると考えてよさそうなので、モデル建物はもしかしたら既に下宿としては機能していないかもしれない。

 

電話のことを調べていたら電話機の自由化はWikipediaによると1985年らしい。そして大量の黒電話情報。先述のとおりいわゆる黒いダイヤル式の電話機は現在のモジュラージャックでは接続できない。これをどうにかして光回線にまで接続して使用することに情熱を傾ける人が多いようだ。どうにかして接続した事例が山ほど検索で表示される。目新しく面白いデザインだと捉えられているらしい。現状でも接続のための改変に関連資格が必要なのかはよくわからない。試す方は適宜調べていただきたい。

 

さて。コラボカフェの展示の情報により1階はおおむね間取りが把握できそうだ。後は縁のある座敷が記憶違いでなければ本編を確認して捕捉できそうである。確認といってもDVDなどの発売を待つか、このアニメのためだけにAmazonプライムを契約するか何か手段を講じなくてはならない。なんにしても、続きは年が明けてから進めたい。

 

では、よいお年を。

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アニメ「舟を編む」の「早雲荘」を編みつづけて、みんなコラボカフェに行くといいと思うよ回

12月1日と12月8日、12月15日までの深夜の放送を見てから書いています。辞書編輯部が中心の回ということで作中の「早雲荘」こと「舟編荘(仮)」の新しい情報は限定的です。オープニングに前面立面図的なカットを見つけ、階段側に1棟あることを確認。そして縁のある座敷がこの外観で納まるには想像力を羽ばたかせる以外にない。

 限られた情報のなかで12月15日深夜第十話「矜持」では二階に新しい扉が開いてしまう。玄関側にトイレを想定していたが、どうやら反対側の廊下突き当たりにトイレらしい扉。外観からこれはわからない。

そして台所をどこへ配置して納まるか考えた結果、玄関向かって左の窓が台所であろうと推定することに。もう他に台所を納める場所がない。ずいぶん狭いが、なんとか配置できそうなのでこれで進めてみよう。

 

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というわけで「舟編荘(仮)」1階案(その5)。1階の流しの部分と扉、階段は凸凹のようだ。本当は2階と揃わないのでここは変なのだが、もしかすると映画版でモデルとなった建物の実態を反映している可能性が考えられる。航空写真と外観写真だけからの判断になるが映画版のモデル建物ではこのあたりで2つの建物が接続されている。

考えてもわからないから、ここは見た通りで描いておく。

縁のある部屋がやはりわからないが、オープニング画像でちらっと見える建物の規模から推定できる適当なサイズを「座敷ほか」として充てておいた。ここはまた後で考えたい。

 

合わせて2階も修正。2階玄関上部分にも窓があるからここがトイレだと最初は考えた。しかし違うのであれば流しか?描かれていないのでわからない。描写されたシーンはなかったはず。見落としているかもしれないな。

 

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「舟編荘(仮)」2階案(その5)。中央の部屋は大家さん(タケさん)の部屋だったが第十話の時点では居間として使われているようだ。床にテレビ、並んで押し入れという配置なので2階は全て六畳間で押入と床があると考えてよさそう。廊下突き当たりに見えたとおり扉を配置してトイレとしておく。

 

まだ外観との擦り合わせが足りない。台所も規模が合わない。

 

と、ここまで進めたあたりでちょうど「秋葉原 アニ ON STATION」コラボカフェの開催期間となった。設定資料の展示にわずかな期待をしつつ、ものは試しと出掛けてみた。

そこで驚愕の設定資料を目にすることとなり、また新しい知見を得ることとなったのであるが、要するにまた修正が必要だということなのだ。最終話でなんとかなるのかもう何もわからない。

 

みんな行くといいと思うコラボカフェについて。

スペシャルドリンクのホットを選択したところ淡いブルーのフォームミルクにココアパウダーの舟が浮かぶデザインのコーヒー。ラテ・アートというのだろうか。意外にそれらしい感じで楽しい。こういう場所来ないし。もっと子どもっぽい内容かと思っていた。コラボする作品にも依るのだろうか。

カフェ内部は予告編のデフォルメキャラや辞書たんズがツリーの飾りのように天井のあちこちに下げられ賑々しい。「辞書編集部」の一部が再現されており灰色のスチール机(アニメのものより年式は新しいかも)に辞書が並べられ、おなじみの白板とマグネットで留められた「大渡海」。壁にはキャラの設定資料や背景資料、アニメのシーン画像などの展示。PV上映のモニターもどの席からも見やすい位置に多数配置。各テーブル上にはアニメの宣伝パンフレットと用例採集カードと筆記具。感想など書いて入口のボードに貼ってくださいということだった。

驚いたことに、カードの裏にはひとつひとつ両面テープが貼ってあって、はくり紙をはがせばボードに貼れるようになっていた。小さいことだが、アニメもきっと丁寧に作られたんだろうと感じるに十分な手間だと思った。きっとたくさんのファンが、こんなふうに静かにこのアニメを応援していたのだろう。

秋葉原 アニ ON STATION」は夏にオープンしたばかりらしい。3つのスタジオのうちひとつが「舟を編む」コラボカフェ、他は別のアニメなどのイベントが開催されていたようだ。秋葉原の大通りから少し離れているせいか、まったり過ごせるカフェだった。大きなスクリーンで上映されるPVは何度も観た内容であっても新鮮。気に入ったアニメのイベントなら秋葉原でゆっくり楽しんで過ごせる空間として良い選択かもしれない。休日の秋葉原はどこもうんざりするほど混んでいるからね。

 

なにより、コラボカフェのノベルティのコースターには「早雲荘」の玄関側立面図が(大半はキャラクターに隠れているが)描かれていた。これだけで行った甲斐がある。

 

 

いよいよ12月22日深夜の放送が最終回。あらすじは原作通りとして、建物の詳細がわかるかどうか。ともかくも、つづく。

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アニメ「舟を編む」の「早雲荘」を編むつづきのつづきで馬締さんの部屋は六畳と判明

これは11月24日深夜の放送、第七話「信頼」を観てから書いています。

作中の早雲荘を「舟編荘(仮)」として力技で再構成し続けています。何の役にもたたない。かつ、1円にもならない。これまでの経過は以下の通り。

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本編は大学の先生が食べている弁当を根拠に大人の話し合いをするあたりがハイライトの回だったため、早雲荘はほとんど登場しません。しかし、新しい情報は常に供給される。公式サイトの次回あらすじ第八話「編む」0:08から、早雲荘の新しい方向からの外観が提示されました。聞いてないよ、なんだよ、1階が半間出てる。

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新たな外観情報をもとに「舟編荘(仮)」1階2階ともに案(その4)を外観の方向とだいたい同じ方向で組み立ててみました。屋根や壁は省略しています。1階の着色してあるあたりが馬締さんの部屋とおぼしき場所です。結局部屋は六畳。贅沢な下宿ですね。

当初の問いにようやくほぼ正しそうな解答が得られました。馬締さんの部屋は六畳。まあほんとわからないものです。

 

オープニング映像をちゃんと観ていると、またまた新しい気付き。1階の流し横に戸が見えます。もしや、これが台所への戸?いや、何かおかしい。

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とりあえず「舟編荘(仮)」1階案(その4)です。1間の押入がある六畳の部屋が並ぶ下宿です。

 

あらためて検索すると映画版のモデルとなった建物の情報が得られました。本郷五丁目の鳳明館という旅館の寮の建物らしいです。しかし外観を利用しているだけで、映画でも内部はセットということです。それらしい外観ですが、建物の規模や細部は全く異なります。

アニメ版は映画版を参照しつつ新規に設計しているのかもしれません。Googleストリートビューで確認した範囲では周辺地形はそのまま反映されているようです。ということはあの観覧車は東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)のものでしょうか。Googleストリートビューでは確認できませんでした。

台所や縁のある座敷などは別のモデル建物からつぎはぎされている可能性もあり、矛盾なく再構成できるかどうかわかりません。

アニメの放送は第十一話まで続くらしいことが公式サイトからうかがえます。年内いっぱいの放送ですかね。まあ、ぼつぼつ、つづけます。

 

映画「舟を編む」のロケ地などの情報。「協力」の項目に「鳳明館」があります。「東京ドームシティアトラクションズ」も挙げられているということは、やはり観覧車は東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)のようです。

www.jimovie.jp

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