箱膳を探して、無印良品へたどりついたはなし

箱膳が欲しくなった。何を急に欲しくなるのかわからないが、箱膳。

箱膳とは何かといえば、食器を納めておく箱。食事の際はこの箱の上に食器を並べて食卓とする箱。

そもそもは塗の椀を探していた。ネットや店頭でだらだらと、適当なサイズの椀を探していたところ、検索結果に箱膳が混ざっていた。

箱膳、これがあれば食卓にもなるし、食器も片付く。なんてすばらしい。

ノートPCのキーボード部分を食卓とする生活から、一気に文化的な生活にクラスチェンジできそうだ。さっそく箱膳を探そう。

だいたい、この程度の経緯で箱膳を検索しはじめた。しかし、意外に品物の層が厚くない。デパートのそれらしい売場にも箱膳は見当たらない。

廃れた文化だったようだ。

いいと思うんだけどな。箱膳。

 

それらしい箱膳のことはあきらめて、箱膳として使えそうな物を探すでもなく探していたある日。無印良品で見かけたこの箱が、箱膳にぴったりに見えた。

www.muji.net

ちょっと高さのあるグラスも入る。食器をぽいぽい入れておけば片付く。いいじゃん。これ。

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ダメな毛布を着て、箱膳を食卓としてテレビの前へも陣取ることができる。箱膳最高。

 

実際の運用としては、高さがいまひとつということと、コーヒーや紅茶それにインスタントスープなどもまとめて仕舞えるほうが便利ということで、高さが低い物を、もう一段積んでみた。

www.muji.net

皿数が増えた場合は分けて置くこともできる。望外に便利な箱膳態勢。

箱膳は再評価されるべきだと思うよ。ほんと。

 

ロモとさくら

ロモのインスタントカメラでさくらを撮ってきた。

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接写レンズ使用。撮影範囲は勘。主に勘。

 

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もよもやーんとした、期待されているロモ風味のさくら。

 

トイカメラとして知られるロモから発売されているインスタントカメラのシリーズがあって、フジフィルムのチェキと同じインスタントフィルムを使用する。

フジフィルムのチェキは廉価版でもそこそこきちんと写る。ロモはいろいろ頑張らないときれいには写らない。うまく設定がはまると、なかなか味わいのあるきちんとした写真になるあたりが面白いらしい。撮れそうで、撮れなくて、でもそれなりに撮れる。

 

www.lomography.jp

 

プリマハムの「タコさんウインナー」がすばらしい件

プリマハムの「タコさんウインナー」はすばらしい。フライパンで温めるだけで、タコさんウインナー。切れ目が入っている。おまけに眼も付いている。

 

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www.primaham.co.jp

彩りとしてもたいへんよい。たいしたものが乗っていない皿も、タコさんで華やぐ。一袋に6本入り。一回で使い切れる量なのもよい。よいことばかりだ。誰かが手をかけてくれた感がかもしだされるのも、よい。

タコさんになれば出来上がりがわかる、加熱の目安としても便利。

 

一時期は着色料忌避によるウインナーの自然回帰で赤ウインナーは消えかけていたはずが、弁当の彩りとして復活しているようだ。自分で細工をするなら切れていない赤ウインナーのほうがリーズナブルな価格。どのスーパーでも1銘柄は並んでいる。

 

楽天の「赤ウインナー」検索結果にはキロ単位の赤ウインナーが並ぶ。

search.rakuten.co.jp

飾り切りなら、いうまでもなくこちら、日本ハムのサイトへ。

www.nipponham.co.jp

タコさん、うまいよ。

ホットケーキがじょうずにやけるようになった

おおよそ1ヶ月の修行を経て、ホットケーキがじょうずにやけるようになった。音楽に合わせてハンドルを回すと、こんがりじょうずに肉がやけるのと同じ。

安定して同じ品質のホットケーキが量産できる。ホットケーキミックスすごい。

 

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そして見いだしたコツは、やはりパッケージの「作り方」に忠実に。加える水や牛乳の量をきちんと計る。タイマーを使って時間を計る。一度に広げる生地の量も「作り方」を目安に決める。そして、時間通りに待つ。これだけ。

しかし、これだけ、が難しい。

 

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「作り方」のとおりに片面をじーっと焼いてぷつぷつ穴が開くまで待つあいだが長い。約3分、タイマーでしっかり計る。じーっと待つ。だるい。

一気にひっくり返してからも、じーっと待つ。約2分。これもタイマーで計る。だるい。

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時間をしっかり計ってひっくり返すと、出来上がり見本のとおりふっくら厚いホットケーキに膨らむ。

 

したがって、おいしく美しいホットケーキはタイマーで計った時間をじっと堪えたあかしなのだ。1枚焼き上げるには約5分。

火加減も「作り方」のとおり弱火。弱火の加減を知るために、何度も試して自宅の機器での最適値を見いだすことも必要。ガスよりはIH、またはホットプレートが一定の温度を維持できることから、美しい仕上がりにつながるようだ。

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美しい焼き上がりの、焼きたてのホットケーキを割ると、ふんわりほかほか。

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皿に積み上げると、パッケージ写真のとおりに膨らんだ厚いホットケーキ。ものすごい充実感だ。

しかし、1回の量で3枚から4枚、20分ほどをホットケーキにかかりきりなのだ。おいしくて、むくわれて当然だろう。

そうこうして遊んでいるうちに、優雅にホットケーキを焼く時間がなくなってしまった。

ホットケーキミックスにみる食品業界の技術革新とかそういうもの

新しいフライパン。

pool.hatenablog.jp

白く丸い美しいフライパン面をうっとりみつめて過ごす。しあわせ。

こんなしあわせは長く続かないらしい。フライパン面は焦げるらしい。

ならばいま、美しいフライパン面のある間に、そうだ、ホットケーキを焼こう。

 

ホットケーキミックスのパッケージに輝く見本のようなきつね色のふっくら美しいホットケーキが、丸いフライパンがあれば焼ける。きつね色ってどんな色やね、しかし。赤茶色いじゃん。

 

スーパーで適当にホットケーキミックスを買ってきた。森永のホットケーキミックス。4袋入って240円ほど。1袋あたり60円ほど。これに卵1個、牛乳100ml。袋には3枚焼けると説明。100円でホットケーキ3枚か。ジャムやバターを付けても150円ほど。

しかし甦る苦い記憶。市販のホットケーキミックスに受けた苦い仕打ちの数々が思い出される。膨らまなかったあのとき、なかなか混ざらない焦り、焦げにまみれた哀しみ、ふくらし粉(ベーキングパウダー)でしょもしょもする味。4回もこれを繰り返すのか。ああ、イヤだな。

 

でも、新しいフライパンで丸いホットケーキは焼いてみたい。

 

ということで焼いてみたい楽しみが勝った。卵は朝ごはん用のストックがある。牛乳はない。牛乳はなくてもいいや。

袋の裏に書かれた説明を読みながら作ってみよう。卵をボウルへ割り入れ、水100mlを加えて混ぜる。めんどうなので箸で混ぜる。混ざったら粉、ホットケーキミックスの粉を1袋入れろと書いてある。ああ、これが憂鬱だ。ダマダマになるんだろうな。ちょっとずつ入れないといけないんだよな、あーあ。既に気落ち。

しかしだよ。ここで奇跡が起こる。

手元が狂ってばっさーっ。奇跡じゃないよ、粗忽だよ。一気呵成にボウル内の卵水混合液へダイブする粉。あーっ、終わった。もう終りだ。

しかし、奇跡、奇跡が。どんよりしながら、まぜまぜしていると、あれふしぎ。しんなり混ざってくる。あれ、ダマダマにならない。え、なにこれ、技術革新?何かわからない技術的な何かによるのか、ともかく粉はさらっと生地になってしまった。

ホットケーキミックス界に何か起こっているのだろうが、知らなかった。

 

出来上がった生地は記憶している状態よりかなりもったりしている。水を足したくなるが、まあ、ここは説明通りに作ってみよう。今、森永のホットケーキミックスへの信頼感は自分史上最高値である。

さて、かなり驚きに満ちつつ、メインの焼き。フライパンで焼く。新しいフライパン、出してくるだけで嬉しい。ここでも説明どおりに弱火でだらだら焼く。こんなに時間かかるんだったか?ささっと焼けるものじゃなかったのか?もやもやするが、パッケージの説明への信頼がかろうじて勝つ。じっと待つ。プツプツと泡が空いてきた。まだ表面の生地はやわらかいようだが、一気にヒックリ返せと書いてある。

 

信頼に従い、がばっとひっくり返す。べちゃっと音がしたような気がする。そして、ここでまた奇跡が。あああっ、膨らんでいる。なんだこれ。ぷうーっと音がしそうな勢いで縁が立ち上がってゆく。すげえ。こんなに膨らむのか、パッケージの写真のとおり厚みが存在している。すごいぞホットケーキミックス

このあたりでもう説明の手順以外をとる気はさらさらなくなっている。もう森永ホットケーキミックスの袋の説明の僕。命じられるままに、じっと弱火で膨らむホットケーキを見守る。

皿にはふっくら丸いホットケーキが3枚。

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最後の関門、苦み。もしかして、もしかして、ここまでの改良が進められているならば、もしかして味の方も。と、期待を込めて何も付けずにそのままいただいてみる。

 

おいしい。ふくらし粉の苦い味がない。甘さもかなり控えめ。ああ、記憶の中のホットケーキとは全く違う、ふわふわのホットケーキ。森永すごい。ホットケーキミックスすごい。

 

改良がいつごろ行われたものかは不明だが、ホットケーキミックスはいつのまにか超改良されていた。膨らみ方も記憶のなかのホットケーキミックスとは違う。泡が繊細で生地がしっとり。これならホットケーキミックスでホットケーキ焼くよ。

 

もしかして、クックドゥーなんかも記憶のなかの味とは異なるレベルに変化しているのではないだろうか。そんな期待が湧き上がってくる。ホットケーキミックスも森永以外からも多数発売されているからには、これらも試してみなくてはなるまい。

新しく始めたいこと、といえば市販のケーキミックスや調味料を試すことだな。食卓のバリエーションも増えるし、いいことだらけじゃないか。フライパン大勝利だ。

今週のお題「新しく始めたいこと」

 

正しいふんわりホットケーキの公式。動画もあるよ。

www.morinaga.co.jp

 

過去の記憶とホットケーキのほろ苦い関係はこちら。ベーキングパウダーも調合によってかなり違うらしいと調べたぞ。

pool.hatenablog.jp

 

丸いふっくらホットケーキが焼けるまでの試行錯誤は省いた。メシマズアレンジャーが糾弾されるとおり、袋の裏の説明は絶対。ともかく水または牛乳の量は厳守。出来た生地で3枚焼く配分も厳守。説明の通りに焼けば、きっちりうつくしくおいしいホットケーキが焼ける。しかしちょっとでも違うことをすると、違う結果になる。意図して薄いパンケーキをたくさん焼くつもりでもなければ、書いてあるとおりに作るべきだろう。

 

あと、たぶん。フライパンの功績が大きい。

冷蔵庫と寝袋

「人型寝袋」が冬の衣装として定着している。もう数年は使っている。

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ドッペルギャンガーの人型寝袋(ヒューマノイドスリーピングバッグ)。軽くて暖かい。

各種レビューではほつれたとか、破れたとか、ファスナーが噛むとの内容で、びくびくしながら注文した。毎年夏になると洗濯して防虫剤を入れて圧縮パックで保管しているが、特に痛んでもいない。

確かに、かなりラフな造りではある。なので、中に着込んでも余裕がある。気温に合わせてユニクロのウルトラライトダウンを着込んだりして寒さをしのいできた。余裕あるサイズから、室内での身動きにはあまった足先を引きずる格好となり、邪魔ではある。

 

今年も寒さ対策として人型寝袋を引っ張り出してきたが、そろそろ改良された製品が発売されていないだろうかと、探していたところへホットエントリーで紹介されていたビビラボの「ダメ着」。人型寝袋よりもタイトなショッカーの怪人スーツ的な部屋着だ。以前にみかけたフリース素材の製品とは異なり、ふわふわの毛布生地らしい。

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さっそくAmazonで注文。便利便利。

かなりぴったりサイズらしいとのことで、大きめを選択したが、人型寝袋のようなだぼだぼ感はない。室内で十分行動できる。

しかし、今年は寒い。室温がぐいぐい冷蔵庫以下になる。ダメ着でパソコンの前に座っているだけでは寒い。ダメ着の下にはウルトラダウンか薄手のウールのセーターぐらいしか着込むことも難しい。

 

そこで、せっかく人型寝袋もあるのだから、今年の冬はパソコンの前ではぜいたくに過ごすことにしてみた。

 

まずはウールのセーターとヒートテックのパンツ。ダメ着も十分暖かいからこのぐらいでよさそう。セーターの下に着るならモンベルのジオラインL.W.は確かにいい。部屋着として着潰していいものかどうか知らんが。

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それから、暖かい靴下。

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で、ダメ着。首回りをがっちり保護。

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ダメ着の上から、だぼだぼの人型寝袋。頭を覆うと体感温度がぐっとあがる。

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見かけ上は去年と同じ。文句なく暖かいうえに、パソコンの操作に何の支障もない。

なんてあたたかいのだろう。このまま眠ってしまいたい。

 

 

寒いならば重ね着をして着込めばいいのではないか。もちろんその通りではある。人型寝袋以前はマミー型の寝袋で足下だけを覆い、セーターとダウンジャケットを重ね着していた。しかし、普通の服はトップとボトムが別れている。ちょうど背中のあたりで暖かい空気が切断されてしまうのだ。「つなぎ」の形態であれば、あたたかい空気が逃げてしまう切れ目はない。マミー型寝袋は椅子に座っているあいだは暖かいが、じっと座っているわけにもゆかない。

股引(ももひき)やスパッツの追加は締め付けがきつくなる。最近滅多に見かけなくなった「らくだ」は余裕がある造りだが、何枚も重ねて着るのは難しい。

それに、ジャケットはやはり外出できるだけの見栄えを備えている。ゆったりしているようでも、袖がだるだるに付いてるわけではない。もし、手元にパジャマとジャケットがあれば袖の付け根のカーブや幅を比較してみていただきたい。ジャケットの袖は格好よくしゅっと胴に付いているはずだ。パジャマは着るとパジャマだとはっきるわかるようにだぼだぼであろう。これが腕の動きを制限しないだぼだぼさなのだが、デザイン性は損なわれるのだ。

 パンツなども、外出できる見栄えとだぼだぼの余裕はおおむねトレードオフの関係にある。これもパジャマのパンツとジーンズなどの股上のカーブを比較するとよくわかる。リラックスできる服は、設計段階からゆとりを組み込まれているのだ。

さらに、軽さ。重ね着は当然ながら各パーツの重量が加算されてくる。肩がこる。

 

さて、ダメ着や人型寝袋の購入を躊躇させる問題に触れておくべきだろう。梨羽の所有する人型寝袋は年式が古いため参考にならない。ダメ着は積極的にそのシステムを喧伝しているからには期待されていることだろう。結論から述べると、これだけは全然期待しないほうがよい。危険な雰囲気しかしないため、「着たままトイレシステム」は利用していない。メーカーのサイトからはトイレをどうするか問題への苦心惨憺が感じられるが根本的な解決は難しいのだろう。

 

ダメ着と人型寝袋のタッグでも、どうしても寒いときは、襟巻きと毛糸の帽子を追加している。なにしろ室温は冷蔵庫以下にもなる。

例年であれば大型の電気毛布が稼働する時期であるが、今年はダメ着とのコンボで小型電気あんかだけの使用でしのぐことができそうだ。光熱費の節約にもなっているだろうし、暖房器具による空気の乾燥も免れている。

 

トイレ問題さえ解決すれば、最強の寒さ対策であろう。

 

 

 

着る毛布系のダメ着。Amazonのレビューにみられる欠点はひととおり備えていた。ぽろぽろ毛抜け、粗っぽい造り、などなど。しかし、補ってあまりあるふわふわ感とあたたかさと軽さ。

www.bibilab.jp

人型寝袋(ヒューマノイドスリーピングバッグ)最新型はこちら。年々スマートに改良されている。

www.doppelganger-sports.jp

 ビビラボもドッペルギャンガーも同じビーズ株式会社のブランドらしい。そうだったのか。

 

今週のお題「冬の寒さ対策」

ケーキをどうぞ

学生のころ住んでいた下宿は大家さん一家の住宅と一体の造りで、そのころ既に木造の古い下宿はすっかり人気もない時代で、大家さんも離れた場所に住むようになっていた。

住宅部分には、だから、ときどき大家のおばあさんが日中を過ごしに来ていて、近所のお友達のおばあさんが集まっていた。

その日はたまたま、午後が休講で昼から台所を使おうとしていた。自室には湯沸かしポットがあったものの、ガスコンロで湧かすほうがだんぜん早い。やかんを火にかけながらぼんやりしてたら、おばあさんがひょっこり現れた。

「あんた、ケーキは食べる?」

実際は地元の訛がっつりで、そのまま文字に起こすとどこだか地名がすぐわかりそうな具合だ。

「え。」

はい、ともいいえとも答えかねて何か口ごもってしまった。ケーキ?

コンビニのケーキは目にするが、ケーキなんて食べる選択肢になかった当時。え、いいの?ケーキなんていただいてしまって、いいの?と混乱する。

「〇〇さん、今日来なかったから、ケーキ焼いたから持って行きなさい。」

〇〇さんというのは、たぶんいつものお友達だろう。焼いたから?ケーキ?

反応の悪い学生など慣れたものだったのか、さくさくと話がすすめられる。

「お皿持ってきなさいよ。」

 

皿は共同の台所へ置きっ放しだ。自分の食器カゴから皿を持っておばあさんの後をついてゆく。先にガスの火を消したが、まだ湯は沸いていない。

 

おばあさんの居間にはテレビとこたつ、こたつの上にはお菓子の盛られた鉢がいつものように並んでいる。そして、ケーキ。

ああ、このケーキか。

ケーキって言われると馴染まないが、ああ、ケーキだ。

 

「2枚あるから。」

そうして持参した皿には2枚のホットケーキが乗せられた。

「ありがとうございます。」

ほっとして、すらすらお礼が出てきた。このケーキならそれほど負担に思わず済みそうだという安堵。脳内で輝いた生クリームの盛られた「ケーキ」像をそっと消す気恥ずかしさ。

 

台所へ戻りガスの火を着け直しながら、ホットケーキなんて簡単に焼けるはずなのに、自分で作ろうとはしないものだと不思議に思った。どこかで子どものおやつのような気がしていた。焼いてもらって食べるお菓子のように感じていたのだろう。

焼いてもらったホットケーキは控えめな甘さで、しみじみおいしかった。

 

そして、何で自分で焼こうとしなかったかも思い出した。ホットケーキミックスのふくらし粉の味が苦手だったからだ。いいはなしっぽかったのに、だいなしだ。