船でゆく瀬戸内海と五重塔、耕三寺へ
いきなりの船旅。尾道港から、予定を変更して船上の人となったわけである。
前日は宮島で穴子丼をぱくぱく。さて、翌日に耕三寺へ向かうことは決めていたが、尾道からバスでしまなみ海道をゆくルートを想定。本数が限られていることが気にはなりつつも、まあ尾道まで行けばなんとかなるだろうと、とても楽観している。
尾道駅は工事中。予定どおりに早起きをして、がつがつ耕三寺を巡る気合い十分である。ちょびっと早く着き過ぎてしまってすらいる。遅れるよりよかろう。早く着きすぎたため、なんだ、船に乗れそうなのだ。乗れるなら船に乗ろう。瀬戸内海クルーズだよ。などと、なんとも気楽な勢いで船にルート変更。さいわいにしてお天気がよい。
水上バスのような船で瀬戸田港へ到着。瀬戸田の港から徒歩で耕三寺へ。
耕三寺とは何かについては、まず、公式サイトをご覧いただきたい。各地の著名な建築がインスパイアされた驚くべき空間だ。
早く到着しすぎている。門が閉まった状態。これはこれで貴重か。
いよいよ開門。いきなり、見覚えのある特徴的な肘木。あれは法隆寺金堂インスパイアでは?
奥に見えてくる五重塔。
石段の上に、また見覚えのある特徴的な相輪が。この五重塔こそが室生寺五重塔インスパイア。
耕三寺の五重塔全景。彩色と屋根材が異なるほかは、おおむねよく写し取られた姿。
インスパイア元の室生寺五重塔はこちらで確認できる。
塔の形がよく把握できる立地でもあり、塔を理解するには適している事例だろう。心柱に鋼鉄の円柱を用いるなど、昭和の建物なりの構造であるらしい。
さて、この耕三寺を知ったきっかけはこちらの門。
目にした写真は昭和30年前後に撮影されていたらしい白黒写真だった。姿形はモデルとなった日光東照宮の陽明門に酷似しているが、扁額が異なる不思議な写真。何だこれ、と調べた所、耕三寺に行き当たった。現地の解説によれば昭和29年に「造営に着手」されたらしい。建設当時はさぞ評判だったことだろう。その白黒写真も、おそらくは建設当初の時期に撮影されたものだろうか。
平等院鳳凰堂中堂インスパイアの本堂。もちろん翼廊インスパイア部分も伴うが、やや形態が異なる。残念ながら修復工事中だった。今回は主に五重塔だけを紹介するため割愛したが、耕三寺全体が見所に溢れている。いずれ他の建物や施設も紹介したいところだが、写真が多過ぎて追いついていない。
インスタ映えが気になる方にはこちら、未来心の丘もある。
オシャレなカフェも、全方位インスタ映え空間も揃っている。カフェはおいしそうなメニューに心を惹かれたが、11時開店。船の時間の関係で今回は諦めた。
耕三寺から瀬戸田の港へもどるまでに、思いがけず国宝の三重塔にも立ち寄ることとなった。
趣のある町並みに「潮音山公園登山口」の案内が現れた。いっそう趣のある路地を指している。だいたいにして、こういう趣のある道を選択すると迷うパターン。
パターン通りに、趣のある選択の結果、三重塔へ向かっているらしいが全く塔は見えない。そして、国宝と詠われながら頼りない看板。かわいらしいお地蔵さんも擦れた赤い矢印と合わせてホラーに見えてくる。どこへ案内されているのだろう。
いろいろあって、三原まではまた船に乗ったりもする。顛末と肝腎の三重塔は、次回。
シチュー三昧
市販のシチューのルウがことのほか充実していることに気付いていらい、寒さが深まるに従ってシチューのストックを続けている。クソ寒い夜もシチューが待っていると思えば寄り道もせず帰宅する気にもなる。ならない日もあるがね。
シチューのルウのパッケージには懇切丁寧な作り方が示されている。このまま材料をパッケージのなすがママに揃えて切って煮込んでも、当然のことながらおいしいシチューができあがる。ホットケーキミックスで学んだとおり、パッケージの作り方指南は神である。しかし、何度か鍋をシチューで満たしては、腹に納めて食欲を満たした結果、パッケージのなすがママは面倒になってきた。
多少の試行錯誤の末に、ジップロックに入れて冷凍ストックしておくならこれでいいんではないかという構成を見いだした。そんなわけで、己の食欲のために記録する。
さて、現在スーパーの店頭で手軽に入手できるシチューのルウはおおむね5皿か4皿程度で1単位になるようなパッケージで供給されている。ルウの箱には1単位ごとに密封されたルウが2つ、というのが標準のようである。1人前なら、1度に1単位分のシチューを作ると運用がよろしい。
1 用意するもの
肉:冷凍保存のために細切れにしていたが、面倒なのでひき肉。特に鶏肉なら「もも肉」のひき肉。ルウ1単位に対して300gが目安。
野菜:タマネギとニンジン。これだけ。ルウ1単位に対してタマネギ1玉、ニンジン1本。サイズは細かいことは気にしない。
牛乳またはスキムミルク:ホワイトシチュー系ではパッケージ神のご託宣に従い、最後に適量を加える。
2 調理
あとはパッケージの手順に従って調理する。割愛。
出来上がったら適当に冷まして、ジップロックへ1皿分づつ分けて保存し、冷凍する。
さて、シチューに欠かせないとされるアレが無い。お気づきだろうか。ジャガイモを加えていない。パッケージ神も加えるように強くおすすめしてくれる。しかし、煮くずれてしまうことと、枯草菌の影響が考えられるため、冷凍保存する状態では除外しておくことにしている*1どうしてもジャガイモを浮かべたいときは、解凍して温め直す際に加えることにしている。なんなら、冷凍の皮付きポテトフライでも十分だと思う。
気持ち肉多めで作っておくと、解凍の手間を乗り越える気力が生まれる。解凍はジップロックごとレンジに放り込むことはできない。一度、皿に移してからラップをかけてレンジでチン。いや、最近のレンジはチンとか鳴らない。いつの時代のレンジだ。ともかく一手間かかるから面倒。面倒ついでに冷凍ブロッコリーや冷凍カリフラワーなど加えても嵩が増えてよかった。
ルウはホワイトシチュー系が気に入っている。特に、ハウスのシチューオンライスはすばらしい。飯のおかずになるシチュー。材料にジャガイモが想定されていない点もすばらしい。
じゃあカレー作れよと、誰もが思うだろう。しかし、カレーだけは作ってはならない。自炊の大敵がカレー。なぜならば、カレーはほぼ完成形といえるボンカレーが存在するから。作るよりボンカレー。
デザインは力、薬師寺三重塔
その2018年となりましたが既に半月以上経過している今日。薬師寺三重塔へ参りましょう。
これがデザインの力というものです、と挙げたい薬師寺三重塔。伝統的建造物なんざ伝統にとらわれた画一的な建物じゃないか、現代の多様なデザインの氾濫こそ至高などと寝ぼけたことを言ってはいけない。当時の限られた技術と手法のなかで、最大限に趣向をこらした結果に刮目せよ。
じゃあ、どのへんが違うのか。
薬師寺西塔。1980年代の再建。再建当時はカラーリングがギラギラしていると批判された。これでも控えめな色調としたらしい。古代の色彩の好みはギラギラ系だと知られてきて、他がもうギランギランな復元案をばしばし提示している現在では、むしろ地味に見える。
屋根を数えて、どこが三重塔なの、屋根は六層あるよね、と思うよな。これが、そもそもデザインなの。五重にしないで五重並みの高さをキープしようとしたら間延びする。そこを「裳階(もこし)」で埋めて、バランスよく屋根を配置している。技術的にも出来ることは限られていたはずで、そのなかで美しい形を希求した結果ではなかろうか、と。そのように考えたいところ。
裳階はそんなわけで、宙に浮いた裳階なのだ。基壇(地面直上の石積部分)の上が初重の裳階と屋根、その上に初重の屋根。次が二重目の裳階と屋根で、その上に二重目の屋根。次に最上の三重目の裳階と屋根、そして三重目の屋根。各重が裳階の腹巻きを巻いているような状態。よーく見ると、各層の下にカゴ状に裳階がぶら下がっているように見えて違和感があるかもしれない。
そして、我々は全裳階付の塔は薬師寺三重塔しか知らない。これを古代のスタンダードだと思ってみてしまう。だが、建設年代が比較的近いと考えられている法隆寺五重塔と比較しても、もうぜんぜん違う。
現代なら、例えば電通本社ビルと、森ビル。どちらもガラスのカーテンウォールで似たようなビルだ。似てはいるが、現代の目からはぜんぜん違う意匠の、違うビルだとわかる。しかし、1000年過ぎて、壁面の一部を写した写真をぱっと見て区別がつくだろうか?
区別がつくのは、一部のマニアだけだろう。古代の塔も、たぶん、そんな感じなのだ。
再建された西塔の写真ばかり挙げている理由は、以前にも述べたとおり。観に行った時は東塔が解体修理中だったから。
薬師寺南門から眺める境内。左が西塔、右が東塔。東西南北を意識した配置。
覆屋はかなりボリュームがある。最寄り駅の近鉄西ノ京駅から降りてすぐに、遠くに見えてくるほどだ。
平成32年に東塔の修理が終了の予定ということなので、また再訪したい。年号は平成じゃないだろうけどな。
さて、塔以外の見るべき物ということで、もうひとつ目的があった。
これまた、ちゃんとした写真がどうしても見当たらないパターン。当然のように、回廊から至近距離に建っていた。超広角レンズでなんとか全体が撮れる。
鎌倉時代の再建建物を江戸時代に向きを変えたとの説明がある。いわゆる「日本の建築」らしい要素が凝集されたような建物の典型例とされるが、伽藍の中ではなんだか微妙な気もする。ここと、ここと、ここ、と細部の価値を説明されないと、この建物の意義はわかりにくい。つらい。
こちらは昭和に再建された薬師寺金堂。現在の薬師寺が目指している空間は、なんといっても白鳳時代の伽藍なのだ。よく見ると、塔の意匠に合わせたものか、一層と二層にそれぞれ裳階がある。
白鳳伽藍は現在も着々と再建が続けられている。食堂(じきどう)の再建を示す看板。
しばらく五重塔から離れていたが、再建される白鳳伽藍からの連想で、模造というかインスパイア系というか、次回はそういう五重塔を紹介してみたい。
薬師寺への道は続く、来年に。
塔を巡る冒険の続き、薬師寺の回、年内の更新が間に合いませんでした。でも更新はする。
解体修理中のため、しばらくこの姿だった東塔。
屋根は六重だが、これで三重。詳しい話は来年更新することにした。
開けた空間が古代っぽい。この広い空間が大陸風なのではないかと思う。(追記20180113:金堂ではなくて大講堂。修正した。)
そんなこんなで今年、2017年は終わりつつある。
たぶん来年は薬師寺からはじめる。
2017年のイチ推しといっても、他にいろいろ観たわけでない。「ブレードランナー2049」はよかった。それで『ティモシーアーチャーの転生』をわざわざ買ったが半分も読み切れていない。これこそ年内に読み切りたい。
で、薬師寺三重塔は、オリジナルの「ブレードランナー」に相当するインパクトを後世の塔デザインに残したはずなのだ。そんな話は、また来年。
ことしもおわりがみえてきた
今週のお題「今年中にやっておきたいこと」
塔を巡る冒険の書、あと1回、薬師寺まで更新してから今年を仕舞いにしたい。
本文は書きかけているのです。たぶん更新できる状態なのです。写真を片付けていない。片付ける余裕がない。
実際は2015年に出掛けている。2015年に書いていた記事はこちら。
waterway.hatenablog.jp1記事に1枚しか写真がない。何をやっとんのや。
2年も写真を片付けていないらしい。カメラのカードから、ハードディスクへデータを移動させているだけでも自分を誉めたい。薬師寺の写真片付けと合わせて、そろそろデジカメのデータ保存メディアの整理もしておきたい。
ともかくも、年内に写真を片付けたい。
年内に限らず、ずっと写真を片付けるためにブログ更新するつもりが、90日間更新していないとか、このままではいかんでしょう。
あなたなしではいられない
今週のお題「今年買ってよかったもの」
予定どおりPS4。
すごいぞPS4。
もうPS4無しの生活なんて考えられない。
ほんとは昨年の12月に買ってるはずだったが、あれやこれやで今年が半分以上過ぎてからようやく買った。そういうわけで、今年買ってよかったものになってしまった。
想像していた以上に、これすごいわ。ゲームしなくても、これすごいわ。
ゲームしないで何してるのかといえば、YouTubeを垂れ流している。主にゲーム実況。
ネットもコントローラーだけではちょっと不便だが、そこそこ使える。
これすごいわ。
ネットに接続さえすれば、何も余計なカードだのメモリだのも、必要ない。買ってきてモニタに繋げばすぐ使える。おまけにコントローラーは無線接続で振り回せる。
これすごいわ。
ゲームはさらにすごい。そもそも、据置のゲーム機利用に10年近いブランクがある。廉価版となっているPS3からの移植ゲーム群ですら、観たことも無い世界。休日は風邪を幸いに、布団にくるまって15時間連続でゲーム。コントローラーの充電が切れた。
帰ったらゲームしようと思えば寄り道もせず、無駄遣いもせず、ひたすらゲーム、ゲーム、ゲーム。
なのだが、ゲームへの耽溺を遮る問題が。
自分の操作能力が、ゲームに追いつかない。特にアクションパズル系の操作や、時間制限のある操作が無理。
この無能ゆえに、適当にゲームから離れてしまう。かえってバランスが取れてよいのかもしれない。離れたらYouTubeで上手い人のゲーム観て感嘆する。
おそらく、もっと楽しい使い方もあるのだろうが、今のところはまだゲームとYouTubeだけで満足している。これでオンラインチャンネルの契約なぞしたらば、危険極まりない。ずーっとPS4の前から動かない自信がある。
唯一、どうしても困った点は、音声出力が映像出力と一体化した端子のみで、モニタかテレビ側にスピーカーが無いと音声出力を単体でひっぱることが難しいこと。コントローラーからのヘッドホン端子で出力は得られるのだが、これはコントローラーが有線接続されている場合に限られる。おまけにヘッドホンなどのBluetooth接続もサポートされていないようだ。SONYからたくさん発売されているBluetooth接続のすてきなヘッドホンも使えないらしい。何でだよ。
困ったときのヨドバシカメラへはもちろん参拝済みだが、ホームシアター用の剛毅かつマーベラスな価格のスピーカーシステムへHDMI出力を経由させるほかなさそうなのだ。
何でそんなことで困るかといえば、テレビのスピーカーが壊れているから。先にテレビかモニタをなんとかしろという話でもある。
だが、そんなことは些細なことだ。どうせコントローラーの充電は切れる。ならば有線で構わないじゃないか。
それより、ゲームだよ、ゲーム。操作が無能なおかげで、なかなかクリアできないからな。コスパはいいよ。コスパのよさにかけては自信がある。
そして、来年早々にはモンスターハンターが発売される予定だ。
もうね、PS4無しの生活なんて考えられない。
ああ、でも、来年はNintendo Switchも欲しいな。
「エンドレス・ポエトリー」を今すぐ観に行くべき3つの理由
1 いつまで公開されているかわからない
いわゆるアート映画なのでいつまで上映されているか危うい。
2 「ブレードランナー2049」よりひどい
期待どおりにひどい。おそろしいファミリービデオなのだ。
父と子の和解を本人が講釈する前で、何番目かと何番目かの息子が、父と子の役で和解のシーンを演じるのだ。80代の本人、50代の息子が本人の父役、30代の息子が本人役としてメインで登場する。80代の本人は誰とも和解する気はさらさらない雰囲気である。
期待どおりの、幻想的なイメージもこれでもかと魅せられる。出色は魅惑の執事カフェ、カフェ・イリス。給仕がそろって老年の紳士。注文する前からビールジョッキが待ち構えている。舞台のようなシーン。舞台のような映像。
そして黒子。CGのかわりに黒子。
さらに書割。CGのかわりに書割。役者の等身大パネルもモブとして登場。
ラストは紫色の小舟で波間を漂う。唐十郎の芝居で名物屋台崩しと唐突な終幕を観て以来の衝撃。え、これで終わるのか。続くの?これからパリに行くの?
「ホーリーマウンテン」や「サンタサングレ/聖なる血」といった前作の世界への期待にも十分に応えてくれる。まったくわけがわからないよ。
そのうちに主人公がナポレオン・ダイナマイト(「バス男(ナポレオン・ダイナマイト)」の主人公)に見えてくる。リア充のはずなのに。まったくわけがわからないよ。
3 いいから服を着ろ
Fallout4では行商のおねーさんから装備を買う度に「服は着たままでいいわ」と囁かれるなぞがある。どうやら誤訳らしい。
「服は着たままで」お願いしたいのは、アレハンドロ君である。いいからおまえはもう脱ぐな。脱衣、脱衣、脱衣。感極まる度に、進行に詰まる度に、ともかく脱ぐ。前衛やアートは脱がないとはじまらないらしい。
差し当たり、修正はない。
「詩人になる」とパリへ船出する主人公の姿に、「プロブロガーになる」宣言とともに花火のごとくはてな界を照らして行った君たちのことを少し連想した。詩人はパリへ行く。ではプロブロガーは?目指すべき都市がないことがプロブロガーの不幸なのだ。代わりに詩人が成すべきことを余さず観られる映画がある。ただし、服は着たままで。脱ぐな。
高尚な解説は公式でどうぞ。