コワーキング・スペースってどうよ、と渋谷ヒカリエが呼ぶ。

図書館からは受験生の長蛇の列に押し流され、スターバックスでは日曜日に行き場の無い田舎事情に追いやられ、ネットカフェは机椅子への不満から足が遠のき、避寒避暑地を求めてさまようニーズに射す光明。「コワーキング・スペース」使ってみたい。

 

いろいろ探してみたところ、起業の為の登記住所として利用できることがメインとなるタイプと、快適な空間を時間貸することがメインとなるタイプに大別できそうだ。快適な空間メインで、通勤経路から立ち寄れて一時利用が可能な施設を探してみることにした。それから以下の記事を参考にしてみた。

 

abt 4NIRUDDHA「渋谷、新宿で最強のコワーキングスペースを探してみた。」

https://medium.com/about-4niruddha/53766f4ddab3

 

御茶の水界隈では一昔前以前から「自習室」が存在していたので、机と椅子を時間で貸してくれるスペースへの需要ということだろうか、とあまり期待はしていなかった。利用してみると自宅を快適にするより外注したほうがいい部分だと思ったので、他の記事であまり紹介されていなかったけど事前に知りたかったことなどをメモしておくことにした。

 

帰宅してから片付けようと思う作業を2〜3時間済ませてしまうと、かなりいろいろ捗るな、というのが今のところコワーキング・スペース的なものを利用しての感想です。ネットカフェではマンガを読んでしまう、スタバやカフェは飲食に忙しくて仕事ができないなどなどの成果をふまえて。

 

手始めに、年明けから通勤経路が変わって立寄やすくなった渋谷ヒカリエの「Creative Lounge MOV」について。オススメされるだけのことはある快適空間だったので、会員登録料630円は無駄にならないと思う。まだ数回しか利用していないが。

 

「Creative Lounge MOV」

http://www.shibuyamov.com

 

さて、最も驚いたことは何をするにも現金で小銭が必要なこと。「都会のオシャレスペース」攻撃で倒れそうな心に地味に厳しい。自動販売機の飲料は予想範囲内として、グリコの置菓子100円、レギュラーコーヒーの簡易ドリップパック100円などなど、うれしい設備であるはずが小銭必須。カウンターで両替をお願いすることも、釣銭対応の機器で崩すことも可能とはいえ、ここで小銭が必要になるとは。というわけで事前に小銭チェックをしてから向かっている。

 

施設内での小銭攻撃はMOVだけではなく、置菓子システムが導入されていると同様に受けてじわじわ効いてくる。菓子も、ティーバッグやドリップコーヒーパックも事前に用意しておけば済むのではあるが、何も持たずにふらっと利用したい時もある。

 

一方でうれしい驚きはウオーターサーバーからお湯が提供されていること。ティーバッグと保温マグを持参すれば自席で温かい飲み物をいただくことが可能。ポイント高い。温めた高出力臭気系食品のお弁当などはキッチンで食べる必要があるとはいえ、電子レンジも設置されている。また、ティファール電気ケトルも設置されているが、こちらは施設内で提供されている100円のドリップパックコーヒー用らしい。

椅子や机は各種取り揃えられており、いずれもゆったりサイズ。経営はコクヨファーニチャー株式会社なので、ミーティングルームのテーブルなどはコクヨ製かも。電源も1席1口は確保されている、などなど快適空間としての基本性能は高いと思う。利用料金がそれなりに高いことと、会員証を作成する際に公的証明書が必要といったハードルも存在するので、見合った快適さだろう。

 

なんだけれど、気になる点がひとつある。床の建付けがいまひとつ。床下配線のために浮き床になっているのかと思ったが、ヒカリエの同じフロアからMOVへの段差もなかったはず。ウッドフローリング的なフロアが、人が通る度にギシギシ鳴り、揺れる。なんだこれ。ウッディーな情緒なのだろう、たぶん。

 

ウッディーな情緒は悪いことばかりでもない。ネットカフェや自習室で要求される閉じた静けさと息苦しさから開放されているので、具体的にはおしゃべり可なので、静かなカフェといった雰囲気がありがたい。友だちと話をするだけという利用の仕方でも、辺鄙な自宅を片付けるよりはMOVの立地と環境は気兼ねなくてよさそうだ。登録利用者と一緒であればゲストは登録なしで利用することもできるらしい。それを友だちと呼べるかどうかはまた別の問題として、飲食から開放される利点はある。もちろん利用料金は個別に発生するが、自宅を整備するコストを考えるとリーズナブルだと思う。

 

それから、立地条件から推測できるとおりに、着てゆく服がない状態を楽しめる。渋谷でヒカリエというだけでもスターバックス以上の戦闘力を備えた服装でなければ受付を突破できないのではないかと恐れてしまう。実際にはそんなことないとしても、少し戦闘力の高そうな服装で出かけることは良い刺激になるのではないだろうか。

 

類似する形態のラウンジとして、かつて東京駅大丸に時間単位で料金が発生するラウンジが設けられていた。大丸のポイントカード登録で割安に利用可能で、11階に設けられたラウンジは眺望もよく、無料のエスプレッソマシーンや有料のマッサージチェアが設置されていた。それなりに高齢な方や乳幼児連れを時間つぶしに混雑する飲食店やネットカフェへ案内するよりは、デパート上階のゆったりしたソファが整備されたラウンジはちょうど勝手がよかった。残念ながら東京駅大丸の ラウンジは数年前に終了してしまった。MOVは、そういえば雰囲気が似ているかもしれない。

 

まあ、「ワーキング」スペースなので過度にくつろいだ「アットホーム」なラウンジ利用はどうかという気がしないでもない。

 

コクヨ製文房具のアピールがもっとあるかと期待したが、それはなかった。