「ハイツ神田川」はいかにして繁栄し、衰退し、そして甦ったか。その6

今週のお題「卒業」

「ハイツ神田川」で学生時代を過ごした君も、卒業する日がやってきます。4月になれば新入生が新しい生活をはじめるはずですが、低成長時代のなか、シェアハウスが脚光を浴びたりしているようです。

 

三畳一間の「ハイツ神田川」も、うまく改装すればオシャレシェアハウスです。共用の台所、共用のバス・トイレ。スペックとしてはシェアハウスと「ハイツ神田川」に共通する部分は多そうです。

 

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三畳一間が連続して共用廊下に面している配置の「ハイツ神田川」。共同の流しはもちろんタイル貼りです。

 

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個室はこんな感じで、押入と三畳。

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1970年代ならこんな感じで住んでいたのでしょうか。座卓を置いて、壁にはスポーツカーのポスター。押入に布団。チェックの日に焼けたカーテン。このままでも快適そうに見えますが、せっかくなので現代風に改装してみたいところです。

 

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押入を外して、ロフトベッドを設置して、床もフローリングにラグを敷いて、あのソファを置いて、コンパクトなPCデスクに換えてみました。窓はブラインド。押入を含めると四畳分の広さがあるので、なかなか快適そうです。プリンターなど共用できる嵩張るものは共用で、台所にでも置いておけばいいわけですね。立地とお家賃によっては、なかなか魅力的かもしれません。

 

趣味嗜好、職業などが共通していれば共用できるモノも似通ってくるので共用するメリットが大きくなる、という関係が推測できます。高速回線のネット環境だとか、複合コピー機だとか、シェアオフィス化も進みそうです。

 

ということで、うらぶれた小さな「ハイツ神田川」は一周回って再び最先端に返り咲いた、と考えていいんじゃないでしょうか。シェアハウスのブームが過ぎても、小さな個室と共用設備の共同住宅という形態はめんめんと需要があるはずです。「ハイツ神田川」普及以前の日本の共同住宅を調べてみると、これからの共同住宅のヒントが隠されているのかもしれません。

 

「ハイツ神田川」以前の日本の共同住宅、ああ、最適な事例の図面がばっちり残っています。というわけで、次回からは「コーポ大奥」について考えてゆきたいと思います。今週のお題に合わせて「ハイツ神田川」からも卒業のタイミングとなったようです。

 

 

つづく