恐るべき買い物とその顛末について
人生で買うべき物、買わざるをえない物は多々あるが、買わなくてもよかったんじゃないのそれという風評がつきまとう買い物というものも稀によくある。
よくあると思いたい。
生きていれば後悔する買い物もひとつやふたつ、あってしかるべきであろう。
そんな買い物のひとつが巨大ボディーソープのボトル。銭湯に通うために家内制手工業よろしく小分け容器に詰め替えているボディーソープをうっかり最大サイズで買ってしまった。減らない。これがもう。つめつめつめつめ。それなりの回数詰め替えているはずだが、どうにもこうにも減らない。
減らないなら結構なことじゃないか。それに。
まあボディーソープなんかは消耗品だ。たいした問題ではない。あれに比べれば。
いいかげん本題に移ろう。
恐るべきあの買い物。このブログをそもそも開始するに至ったあの買い物。
enchantMOONについて。
そもそも、そもそもが届かなかった。予約サイトは速攻でダウン、予約会場まで物理で殴り込みに行き予約システムのふわふわ加減に不安を覚え、ハードはともかくこれはヤバいとゴーストじゃない何かが囁くほどに危うい予約受付を経て予約が吹っ飛ばされたらしい。
そして発売日。続々と公開される「届いた」ブログ。
何かの囁きどおり届かない。
その後だいたい毎日更新して届かないことを嘆き続けていた。嘆きの声が先方に届いたかどうかは知らない。
まあ、ここでもう購入しないという手もあったね。
当初予告から遅れること数ヶ月、伝票に記載された引き渡し予定日からもだいぶ月日を経て渦巻く悪評にどんな凄いマシンかとわくわくしながら開封した日が懐かしい。おまけのストラップは使っていないな、そういえば。
しばらくは「シール」を作って楽しく過ごしていた記録がある。
メモ帳がわりに持ち歩いてもみた。アップデートされてからはだいぶ勝手もよくなった。
今どうしてるかって?
たまに起動して落書きをするメモ帳としてそれなりに使えてはいるので、まあ買ってよかったと思う。紙のメモは散らかるのでだいたい無くすがenchantMOONに描いとけばまとまっている。紙のメモは捨てるときもシュレッダーにかけたり手間だが、ファイルならさくっと消せる。
キングジムのデジタルメモも使ってみたが、保証期間あたりで壊れてしまった。今ならiPadでいいのかもしれないが、他の機能が充実しているデバイスはそちらで遊んでしまう。enchantMOONはブクマに勤しんだりするには向いていないから気が散らなくてよい。
そして、きらきら。なんといっても、きらきら。画面に触れると魔法のきらきら。丸いきらきら。四角いきらきら。触れた指先からきらきら。無性に楽しい。お高いきらきら。このエフェクトだけスマホのアプリにならないかとすら思う。
書き出してみると、なんだ、結構いい買い物だったじゃないか。
だいたい、こうして末永くネタにできてるじゃないか。
後悔のひとつもない人生だと言える者だけがenchantMOONに石を投げるがいい。
石を投げようにもそもそも、身の回りで実機を見たことがある人がどのぐらいいるのだろうか。あれから3年、いまだにenchantMOONを持っている、使っているという人に会ったことも見たこともない。