「エンドレス・ポエトリー」を今すぐ観に行くべき3つの理由

1 いつまで公開されているかわからない

いわゆるアート映画なのでいつまで上映されているか危うい。

 

2 「ブレードランナー2049」よりひどい

期待どおりにひどい。おそろしいファミリービデオなのだ。

父と子の和解を本人が講釈する前で、何番目かと何番目かの息子が、父と子の役で和解のシーンを演じるのだ。80代の本人、50代の息子が本人の父役、30代の息子が本人役としてメインで登場する。80代の本人は誰とも和解する気はさらさらない雰囲気である。

期待どおりの、幻想的なイメージもこれでもかと魅せられる。出色は魅惑の執事カフェ、カフェ・イリス。給仕がそろって老年の紳士。注文する前からビールジョッキが待ち構えている。舞台のようなシーン。舞台のような映像。

そして黒子。CGのかわりに黒子。

さらに書割。CGのかわりに書割。役者の等身大パネルもモブとして登場。

ラストは紫色の小舟で波間を漂う。唐十郎の芝居で名物屋台崩しと唐突な終幕を観て以来の衝撃。え、これで終わるのか。続くの?これからパリに行くの?

ホーリーマウンテン」や「サンタサングレ/聖なる血」といった前作の世界への期待にも十分に応えてくれる。まったくわけがわからないよ。

そのうちに主人公がナポレオン・ダイナマイト(「バス男ナポレオン・ダイナマイト)」の主人公)に見えてくる。リア充のはずなのに。まったくわけがわからないよ。

 

3 いいから服を着ろ

Fallout4では行商のおねーさんから装備を買う度に「服は着たままでいいわ」と囁かれるなぞがある。どうやら誤訳らしい。

「服は着たままで」お願いしたいのは、アレハンドロ君である。いいからおまえはもう脱ぐな。脱衣、脱衣、脱衣。感極まる度に、進行に詰まる度に、ともかく脱ぐ。前衛やアートは脱がないとはじまらないらしい。

差し当たり、修正はない。

 

 

 

「詩人になる」とパリへ船出する主人公の姿に、「プロブロガーになる」宣言とともに花火のごとくはてな界を照らして行った君たちのことを少し連想した。詩人はパリへ行く。ではプロブロガーは?目指すべき都市がないことがプロブロガーの不幸なのだ。代わりに詩人が成すべきことを余さず観られる映画がある。ただし、服は着たままで。脱ぐな。

 

映画『エンドレス・ポエトリー』公式サイト

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